東洋フレーム(TOYO FRAME)完成例


昨日は関東では20度にもなったということですが
尾道の小さい自転車屋では冷たい強風がドアを開け
その音に条件反射で「いらっしゃいませ」と店員が口走るという
メルヘンチックな光景が見られました。
店員はヒゲオヤジですけどウフフ。

数ある四字熟語の中で、特に的を得ていると思うものに”三寒四温”があります。
元は冬の言葉らしいのですが、寒暖を小刻みに繰り返し
いつの間にか暖かい日が優勢になっていくという様は
まだ少し早いかもしれませんが、これからの季節に毎年実感しております。

特に自転車乗りはその季節の移り変わりに敏感だと思いますので
今からシーズンインに向けた準備をしつつ、春の到来を心待ちに致しましょう。

ちなみに説得力のある四字熟語1位は”生者必滅”でしょうか。
実はリアリストなんです。
 
 
さて、そうは言ってもまだまだ寒い日が優勢ですので
自転車業界ではシクロクロスシーズンが続いております。
先日は世界選手権がルクセンブルクで行われましたが
まぁそのスケートリンクと化した路面に加え
高低差のある危険なコースには度肝を抜かれました。
いえ私が走った訳ではありませんが、ネット中継を見てですね。

こちらは女子エリートの模様ですが
9:30にスタートして、僅か1分でフレームが折れる落車事故が発生しております。

この日の為に1年をかけて準備をしてリタイヤを余儀なくされた選手の悔しさたるや
先日の宮島で(実質)最下位に甘んじたワタクシとは比べ物にならないと思いますが
しかしそこに出場出来るだけでも名誉なことですので
また来年頑張って欲しいと思います。

そして日本のシクロシーンで活躍しているフレームメーカーが
本日ご紹介する東洋フレームです。

英語では”TOYO FRAME”ですが
ワタクシこのframeを”flame”とよく間違えて炎上させます。
「東洋 炎上」だとカープの先発が滅多打ちのイメージですね…縁起でもない…。
恐らくダルシムを使い過ぎたのだと思います。

話が脱線気味ですが、この東洋フレーム。
シクロクロスに縁のない方にも知名度は高く
さらに競技自転車に無縁の方にも実はお馴染みのブランドなのです。
それは映画「E.T.」で空を飛んだ自転車、と言えば納得頂けるかと思います。
映画の自転車はクワハラというブランド名のBMXでしたが、製造は東洋フレーム。
他にもRITCHY(リッチー)やROCKY MOUNTAIN(ロッキーマウンテン)、GTといった
有名ブランドの製造も請け負っていたという、特にMTBの黎明期を語る上で
外すことの出来ないメーカーです。

そしてただ昔話として語られるだけではなく
現在でも新しい製法や規格を貪欲に取り込み続ける革新性もございます。

今回お客様からオーダー頂きましたのは
最先端規格を採用する”ROAD-S”。

標準では赤と黒の2色展開なのですが
そこは大阪での職人生産。
なんと希望した通りの色に塗装してもらえるのです。(要アップチャージ)
その指定方法はどんな形でもOKでして
HTMLの色コードやRGBカラーモデル、果ては「あの車と同じ色」という方法まで
つまりは自分だけのこだわりカラーを形にしてくれます。
そして本塗装前に、確認の為のサンプルまで送ってもらえるきめ細やかさ。

規格はクロモリフレームでありながら
上下異径(下1.5″)のヘッドチューブにカーボンフォークという
レース使用も想定した内容で、機能性も確保されております。

実際このオーナーさんはトライアスリートですので
内装Di2仕様をお選び頂きさらに利便性を増しております。

そうしたカラーや仕様のみならず
組み合わせるパーツにもこだわれる自由さのがフレーム組のメリットでしょう。

組み立てはオーナーさん自らがされましたので(最終点検はさせて頂きました)
とにかく1から10までこだわりが形になった1台です。
そんな魅力的なご注文ありがとうございました。
また春以降のトライアスロンシーズンを楽しみにしております。

ご紹介ついでにもう1台の東洋フレームを。

こちらは打って変わってクロモリらしいフレームセットの
フィレット仕上げです。

“fillet”は溶接用語で「すみ肉」という意味らしいのですが
百聞は一見に如かず、概ねこんな仕上げになるものが多いです。

ラグ(継ぎ手)にパイプを差し込んでロウ付けされることの多いクロモリですが
フィレットはラグを使わず、さらにそのロウ付け痕を丹念に磨くという
精度の高い技術と根気が必要な製法です。

さらに金属地が透けて見えるクリアフィニッシュですので
ともすれば派手さが先に立つゴールド部分が
無骨なフレームに程良い装飾感を与えてくれております。
サインはビルダーの石垣さんのものです。

この仕上げはオーダー品のみとなりますので
究極のこだわりを形にしたい、とお考えの方はご相談ください。

ちなみに自転車には全く関係のない話ですが
“fillet”には「切り身」という意味もございます。
それは以前海外の鮮魚店に行った時に、ショーケースのその文字を見て
「フィレットという魚をください」
「どのフィレット?」
「だからそのフィレット」
「だからどれやねん」
という押し問答の末に覚えました。

確かにウチでも「フレームという自転車をください」という方がいらっしゃったら
受話器を片手に110番か119番かで悩むことでしょう。
その節は申し訳ございませんでしたm(_ _)m

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