ゆめしま海道サイクリング(中級編)後編

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<前回のあらすじ>
日本晴のある日、運動不足の自転車屋が一念発起して
釣り道具を背に自転車でゆめしま海道へ向かったものの
何とかと煙は高いところが好きという言葉通り
道中の高い場所へ無駄に上っては体力を使い果たし
でもまだ全行程の半分以下という絶望的状況で現れた謎の美女とは一体!?

前回長くなり過ぎました、ゆめしま海道サイクリングレポートの後半です。
前編はコチラをご確認ください。
 
 
生名島を反時計周りに走り
佐島を経由してようやく辿り着きました
ゆめしま海道のメインアイランドである弓削島。
現在位置は弓削大橋を渡り切ったところです。
※画像クリックで少し拡大します
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弓削島をミギを向いたヤギに例えますと
いつもは、ここから時計周りに胴体部分だけを周って帰るのですが
今回は「ゆめしま海道を舐め回すように走ろうグヘヘヘ」という
気持ち悪い合言葉が(唐突ですが)ございましたので
地図では東部に見えて実は南部なヤギの頭部をまずは時計周りにグルッと。
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基本的に海沿いを走っておりますので
相変わらず近眼魚群探知機は作動しておりますが
この辺りはどこでも大物が釣れそうな気配を感じますので
迷い箸ならぬ迷い竿をして一向に進みません。

その中でもひときわ人気のない立派な波止がございましたので
大漁を確信しながら釣り糸を垂らしてみます。
「ここで大物(50cmのタイとか)が釣れたらちょっと困るなー、困っちゃうなー」
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(1時間経過)

こんなことを悠長にしている場合ではございません。
大物が釣れるイメージトレーニングはしっかり出来ましたので
スッキリとした気持ちで本来のサイクリングに戻るのです。

(次は投網で一網打尽じゃけぇな…見ときんさいよ…)
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海を離れると途端に大層な上り坂が続きます。
それはもう展望台が作られる程の山道で…あ、展望台。
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この案内図には”くしやま”と書いておりますが
場所によっては”くじやま”ですし、まぁとにかく久司山という所です。

展望台へはまた山道らしいですので
下に自転車を置いて歩いて登ろう、と思いましたら
シクロクロスであればひょっとしたら乗れるかもという道です。
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そろそろシクロシーズンですので
ここはトレーニングも兼ねまして
勢い良く山道へ分け入るのです!

20秒で挫折致しました。
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この道は、階段で整備されておりました生名島のものとは違い
より自然に近い、いわゆる典型的な登山道です。
さらに入口までで結構な標高を稼いでおりましたので
登山は比較的短時間で済みました。
ただし足元の岩にはくれぐれもお気を付けください。
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以前の”ブラタモリ(NHK)”の宮島の回で初めて知りましたが
瀬戸内の島の多くは花崗岩で出来ているそうです。
その大きな岩の塊がセツリという亀裂を境に風化、侵食されて
現在各地に残る大きな岩々を作ったとのことで
尾道近辺の巨石の謎もそれでようやく解けました。

ちなみに”セツリ”は”節理”と書くそうですが
TVを聞き流しておりました私は「摂理」かと先程まで思っておりました。
(摂理:キリスト教で世界のすべてを導き治める神の意志・恩恵 by Google)
岩をも砕くとは流石神様じゃのー、と納得していた自分が恥ずかしい…。

余談になりましたが、ともかくいわく有りげな岩がゴロゴロしておりますので
そんな島の成り立ちにも想いを馳せながら歩かれては如何でしょうか。

ようやく展望台です。
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そう言えばここではあまり蜘蛛の巣を見かけませんでしたので
生名島よりは訪れる人も多いのかも知れません。

眼下には先程渡ってまいりました弓削大橋と佐島。
そして生名島と因島の町並みがしっかりと見え
「なんだこれだけしか走ってないのか」と憮然とすること必至です。
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そしてこれから走る弓削島の北部。
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函館山から見た函館市街にも似ておりロマンチックではございますが
その先に連なる山々も自ずと視界に入ってしまいゲンナリもしてしまいます。

そして真西には最後に走る佐島の全景。
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ここから見るとあっという間に走れそうな距離に見えますが果たして…。

真東には先程までイメージトレーニングをしておりました波止が見えます。
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嫌な記憶が蘇ってまいりましたので
不貞腐れながら下山して、消防署の前でようやくのランチです。
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しかしこの”薄皮シリーズ”は一体何種類あるのでしょう。
今回初挑戦の”レーズンカスタードクリームパン”は大ヒットでした

さていよいよ弓削島の過酷パートをまた時計周りに走ります。
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海を左手に、いつもの上弓削の町並みを通り抜け
足元のブルーラインが途切れるこのT字路まで走ります。
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そしてここを右折すると目の前に上り坂がドーン。
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ここからは、個人的に”ミニ水軍スカイライン”と呼ぶ
キツイ斜度を含むアップダウンコースの始まりです。

ここまでの疲労もございますが
ランチや上弓削のまったりとした雰囲気にしばし浸かった身には
いきなりのこの坂道がいつも以上にこたえます。

しかしそこは水軍スカイラインに似たレイアウト。
というか水軍スカイラインから直線距離で5kmも離れておらず
島の東側という点でも共通しておりますので
そこからの景色の素晴らしさも非常に似通っております。
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側道の斜面に小さい秋が列を作っておりました。
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弓削島は、今回の8の字コースを走ると20kmに満たない島ですが
その中に潮風が気持ちのよいフラットコースがあったり
眺望の素晴らしいアップダウンや展望台があったり
補給や休憩を取りやすい店が点在していたり、と
どのようなレベルや目的のサイクリストにもきっと満足頂ける所です。

冒険心を忘れない元少年と致しましては
魅力的な路地や脇道に、迷子を恐れずひょいと入ってみられるのも
こうした小さな島ならではの楽しみだと思います。

さて、まだ弓削島中央部の山々には入っておりませんが
この後歯医者の予約が入っておりますので
後ろ髪を引かれつつ島を後にして、残る佐島へ上陸致します。
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この島は、他の島々と違い周回コースというものがございません。
北部は自由度がございますが、南半分は行って戻るだけ。
東西の島と結んでおります橋も島の北端をかすめるように作られておりますので
「同じところを2回走るのはイヤ」
というサイクリストの多くはこの島の一部を通過するだけなのが現状です。

かくいう私も、この島を走るのはこれが2回目。
ゆめしま海道を訪れた回数で考えますと打率1割ぐらいでしょうか。
その理由はと言いますと…

南北に細長い島ですので、至る所が行き止まりです。
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行き止まりですが、南端に行く今回のルートでは左上の行き止まりが正解です。

そしてこのルートにあまり脚が向かない理由がこちら。
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写真では分かりにくいかも知れませんが
水軍スカイラインも含めたこの日の最大斜度をここで記録致しました。
その斜め度は何と16%。
それが短い周期で連続し、かつ路面状態もあまりよろしからず
なにより行き着く先が行き止まり、ということもあって
何度も走りたくなる道とは言えないのです。

などとブツクサ言いながら走っておりますと
おもむろにその行き止まりが現れます。
そう、まるで「行き止まり。スタート地点に戻る」
とでも言っているかのようなUターンブルーラインと共に。
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何も知らずに走っていた方は
それまでの過酷な行程を思い起こして
「罠か…」と言いつつワナワナと震えるかも知れませんが
周辺に数あるブルーラインでUターンをしている箇所はここにしかございませんので
ある意味大変貴重な場所だとも言えます。

実際この珍しい場所を見ようという観光客も増えているようで
以前は無かったこんなメルヘンチックな案内も出来ておりました。
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この時点で、新しい自分になって頑張れる元気もなく
どちらかと言うと「古い自分の骨をここに埋めて来世で会いましょう新しい自分」
という気持ちなのですが、せっかく楽しみ方を教えて頂いたのですから
取り敢えず海に向かって何か叫んでおきましょう。
 
 
「この後の歯医者が怖いぃぃぃぃ」
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そんなゆめしま海道のサイクリングでございました。

帰路は、因島も向島も全て西側を通りましたので
意図せず全島(佐島除く)一周の、約110kmとなりました。
その距離で、水軍スカイラインを走ったと言えども
獲得標高が1250mにもなりましたので
ゆめしま海道の中級編、特に弓削島と佐島はなかなか侮れません。

ちなみに上級編は、同コースの渡船と橋の部分が”泳ぎ”です。
頑張ってください。
※冗談を真に受けてチャレンジすると
 潮に流された上に渡船と漁船にハネられますのでご注意ください
 
 
今回のサイクリングコース(帰路省略)

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