高知県東部限定お遍路サイクリング 1日目
本日はフニャフニャの日(12月12日)にあり得べからざる寒さで
朝方には0.5cm程の積雪まで観測致しました尾道よりこんにちは。
そもそもフニャフニャの日がどのようなものなのか
勝手に制定しておいて自分でも分からないのですが
語感的には、このようにシャキッと冷える日の対極であるような気がします。
ともあれいよいよ路面凍結のシーズンとなってまいりましたので
特に朝方や山間部で自転車に乗る方は
スリップにくれぐれもお気を付けください。
さて、本日は既に1週間前の話となりますが
先週行ってまいりましたお遍路サイクリングの模様を
画像中心にお送りしようと思います。
まずは尾道から、ベースとなる高知市の実家まで自転車で
と思いましたが、この日も午後から雨の予報でございましたので
本州側の瀬戸大橋のたもとにあります児島まで自走し
そこから輪行をすることに致しました。
見えづらいのですが、笠岡(岡山)の川にはカモの大集団。
そこから少し行って、肉食恐竜の目をやり過ごし
ふと目についたのが御嶽山(みたけさん)。
海からせり上がっている300mを超える山、ということで
近所の鳴滝山のような景色を期待して寄り道してみましたが
延々20%ぐらいの激坂で、道半ばにして早々に後悔。
体力が落ちているので比較にはなりませんが
以前上った暗峠の奈良側の斜面に匹敵するのではなかろうか
という個人的感覚でした。
それでもまだ見ぬ絶景をあれこれイメージして
這々の体で上りきったらこの景色。
「ふーん」という言葉しか出てきません。
そこから来た道を戻れば良かったのですが
反対側へ下りる遊歩道の案内がありましたので
「ちょっとした遊歩道ならロードでも走れるじゃろ」
と思って入ったらこれ。
荷物を積んだ自転車と共に
40%ぐらいあるのではなかろうか、という斜面を
落ち葉と共に雪崩落ちるサバイバルゲームでございました。
最後はなぜかどなたかのミカン畑に落ちてきましたが
それでもその文明の一片が大変嬉しかったり。
(畑を横切ってすみませんでした)
そして児島駅の10km手前で雨が降り出したりと
なんだか冴えない移動日を経て、さてお遍路サイクリングの始まりです。
イエス、ここまでプロローグ。
ところでお遍路とはなんぞや、というところですが
簡単に申し上げると、空海さん所縁の88箇所ある四国の寺を巡礼すること
だと思うのですが
個人の感覚で申し上げると、神聖なスタンプラリー、でしょうか。
基本はお寺にお参りをして、お札(ふだ)を納めて
そのお寺の御朱印をもらう、というのが一連の流れらしいです。
それを行うのが”お遍路さん”なのですが
彼らが着る衣装にある「同行二人」とは
お遍路さんと空海さんのことなのだそうです。
まるでだるまちゃんとてんぐちゃん、みたいな
軽い紹介となっておりますが、それもそのはず
書いておりますのが”信仰心の浅さ選手権”があれば
常に入賞しそうな人間でございますので
その点を差っ引いてお読みいただければと思います。
空海さんは、その手がけた事業の数々と
同郷の大先輩ということで尊敬してはおりますが。
ということで今回のお遍路サイクリングの主役は
その1週間後には71歳になるという
ワタクシの最も新しい先祖です。
あ、ということは明日が誕生日ですか。
当日には忘れていると思いますので
今のうちにおめでとうございます。
そのご先祖様と空海さん、そして私の同行三人が
まず向かった先は、高知県の東の先である室戸岬近辺。
八十八ヶ所ということで、お寺の1つ1つに番号がふられているのですが
室戸岬にある最御崎寺はその24番に当たります。
まずは1番から始めるのが筋ではなかろうか、と
三人目の同行者は思ったりもするのですが
徳島にある1番から始めると、泊りがけの
大掛かりなものになりますので、まずは日帰りで回れる所から。
と言いましても東西に長い高知県ですので
実家のある高知市から室戸岬までで80km以上ございます。
ということで車に自転車を2台積んで
岬から10kmちょっとの道の駅からスタートとなりました。
苦行レベルとご利益量が比例するならば
車載を選択したこの時点でご利益2割減。
南国土佐と言いますが、この日は完全な西高東低で
猛烈な西風が太平洋の白波を撒き散らしておりました。
そこから、まずは3つのお寺を回る約30kmのサイクリング。
走ってすぐに目についたのが
随分前に来た時には無かった津波の避難塔。
恐らく東北の震災後から設置され始めたのだと思うのですが
これが数百メートルごとに並ぶ光景は
瀬戸内海から来た者の目には衝撃的でした。
ただでさえ台風銀座と呼ばれる場所ですが
加えて津波の危険にもさらされている過酷さは
今翻弄されている突風ですら易しいもののように感じました。
と言っているそばから、最初のお寺への坂が目の前に。
本物のお遍路さん(父)はさておき
助手としてついてきただけの息子は
「なんでわざわざ山の上に寺作んねん空海さんよ…」
という素直な気持ちをトロトロ吐露。
3kmも4kmも続く坂ではございませんが
常時10%前後の勾配が続く最初の難関に
重いクロモリランドナーで挑むギリギリ70歳。
近くまで車で来ていなかったら
お寺で安住の地(墓所)の相談をしているところです。
そうして辿り着いた最御崎寺。
先程まで「さいごさきでら」と思っておりましたが
「ほつみさきじ」で”さき”しか合っていないという不思議。
ここでお遍路ビギナー(父)は、様々なお遍路作法に翻弄され
30分ほど右往左往しておりましたので
その間助手はお寺の隣りにある室戸岬灯台へ。
「この先にはアメリカかー」
と、太平洋の大きさ感動しておりましたが
今地図を見ると、どちらかと言うと
パプアニューギニアとかニュージーランドですね、この先。
そして尾道の千光寺でも見たような気がするこれ。
こんな所に恋人同士が来たら
彼氏が風に飛ばされて海にポチャンして
アメリカの捕鯨船に救助されてジョン万三郎となってI’m homeですよ。
あからさまな嫌悪感で申し訳ございませんが
折角の風光明媚な名所を、金ピカプレートと
南京錠で一気に俗っぽくしてしまうこの企画は見るに耐えません。
恋人こそ、2人で見るその雄大な眺めだけで想い出に足ると思うのですが。
とオッサンが愚痴りながら西風に抗って向かった2つ目のお寺は
風はあれども坂は無し、しかし階段はある津照寺。
これは「つしょうじ」じゃろ、と思ったら
なんと「しんしょうじ」と読むのだそうで
実際訪れておきながら、今現在ちょっと腐っております。
その次は、室戸岬と同じぐらいの標高ながら
勾配は幾分緩い金剛頂寺。
これが「こんごうちょうじ」で無かったら
空海さんのことを「そらみちゃん」と呼んでやる
と思っていたら、ここは無事こんごうちょうじでした。
ここから先程走った室戸岬がよく見えました。
本当に平野部が少ないですね、室戸岬は。
ここから次のお寺までが30kmあり
なおかつ延々と強い西風ですので
次のお寺のふもとまで車で行って
そこから自転車で頑張って上ろう!
と思いながら、気がついたら車でお寺の門前に到着しておりました。
この神峯寺、「こうのみねじ」かそりゃ読めんわ
は、これまでで最も高い標高400m地点にありまして
しかもそこまでの勾配が延々とこんなの。
仁王像もそりゃビックリします。
恐らく自転車で上っておりましたら
神峰寺の境内へ入る前に父が鬼籍に入っていたでしょうから
ここは車で行って正解だったと思います。
しかしいつかまた1人で挑戦してみたいところです。
さて、この日の予定はこの4つのお寺で終了でしたので
傾いてきた陽を浴びながら帰路につきます。
が、「このペースだと次のお寺にも間に合うであろう」と
ハンドルを握る父がのたまいだしたので
御朱印所終了の10分前に、香南市にある大日寺に駆け込み参拝。
五体投地に代表されるような苦行が徳となるならば
最後らへんのハイブリッド車で慌ただしく駆けずり回るお遍路は
ひょっとしたら空海さんにノーカン(ノーカウント)されている恐れもあります。
しかし見ていると殆どのお遍路さんは車で回っていらっしゃるようで
歩き遍路と比べるとイージャーではありますが
部分的自転車遍路も、それなりに認めてもらえるのではなかろうか
と助手は都合よく思うわけでございます。
そんなドタバタのお遍路1日目でございました。
続くもうちょっと頑張った2日目の模様は次回に。